YOMIURI ON-LINE / 国際
外国からは強引とも見えたイラク戦争の開戦から2年。アメリカ国民もやっと冷静な目を取り戻しつつある。だが、彼らが気づくのは、やはり遅かった。日本等の「同盟国」の存在もまた、イラク戦の開戦の正当化に使われたことだろう。 以下、そうした自戒の意味も込め、YOMIURI ON-LINE の記事をそのまま引用する。 旧フセイン政権を打倒したイラク戦争の開戦から20日で丸2年を迎える。戦争を主導した米国では、暫定国民議会の開催など民主化と復興の進展を歓迎する空気に、次々と暴露される戦争の“暗部”が影を落とし、国民の戦争への支持が低落する現状を招いている。
「今日、イラク経済は成長し、資産価格は上昇し、難民は故郷に戻り、外国投資は増大している。イラクは、圧制とテロの地に、自由と機会をもたらしている」 ラムズフェルド国防長官は18日、国防総省で開いた職員集会で、イラク戦争が切り開いたバラ色の現状を描き出した。 拍手は、なかった。 イラク国内での社会状況の改善とは裏腹に、米国内では今、米兵によるイラク人虐待事件やイラク治安部隊の訓練実績の水増し疑惑などが次々にクローズアップされ、国防総省職員の意識にも重くのしかかっているのだ。 ノースカロライナ州では19日、米軍の早期撤退を訴える大規模集会が開かれる。戦争で犠牲になった兵士の遺族も多く参加する。1年前に開かれた同様の集会が2000人に満たない参加者しか動員できなかったのと違い、1万人程度が加わる予定だ。 ワシントン・ポスト紙などの最新の世論調査によると、「イラク戦争は戦う価値があったか」という問いに、イエスと答えた人は45%と、開戦直後の2003年4月の70%から大きく下落した。逆に、価値はなかったと考える人は、2年前の27%から53%に倍増し、支持派を上回った。 駐留米軍にとって、反米武装勢力を掃討し、イラクから撤退することは緊急課題だが、肝心の「敵」が見えなくなってきた。17日に開かれた上院軍事委員会の公聴会で、中央情報局(CIA)のゴス長官は、「我々が相手にしているのは、朝目覚めて、仕事に行こうか、それともカラシニコフ銃を手にとって米軍を攻撃しようかと考えるような連中だ」と証言し、反米武装勢力と一般市民の差が見えにくくなっている実態を認めた。1日当たり50件を数えるテロに、もはや外国勢力の影はほとんどない。 開戦2年にあたり長文の社説を掲載したニューヨーク・タイムズ紙は、「事態を悪化させない早急な出口を思い描くのは困難だが、米軍の存在が事態をむしろ悪化させているのも明確だ」と論じ、退くこともとどまることもできない袋小路の現状を指摘した。
by kiyoaki.nemoto
| 2005-03-20 14:54
| ニュース
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